中級スペイン文法中岡 省治 /伊藤 太吾 /福嶌 教隆 /出口 厚実 /西川 喬
白水社 刊
発売日 1995-05
5年以上の長期に渡って本格的にスペイン語を学習する“覚悟”のある人にはお勧め 2004-10-16
スペイン語の学習を始めて2年半。常々、目的語の重複表現について疑問を感じていました。例を挙げると<darselo+a+間接目的語>と言うべきなのか、それともseは省いて< darlo+a+間接目的語>で済ます事ができるのかがどうしても理解できずにいたのです。
職場仲間にスペインやホンジュラスで通算3年暮らした経験のある人がいて、この件について教えを請うたところ、彼が取り出してきたのが600頁以上もある本書でした。本書によって私の疑問は見事氷解しました。
他にも本書が解決してくれた疑問は多数あります。
例えば「泥棒は逮捕された」という受動文を「Se ha detenido a los ladrones.」と表現する場合がありますが、「泥棒は」という主語の前になぜ前置詞「a」が必要なのかが理解できずにいたのです。
本書によって、私がこれを再帰受動文の一種であると誤解していたことが分かりました。この文は受動文のように和訳するとはいえ、実際は無人称の「能動文」であり、「泥棒」は主語ではなく直接目的語だったのです。
ネット上で本書の評判を確認したところ、スペイン語を専攻する大学生に推奨されることが多い、本格派向けの文法書のようです。確かに職場仲間の彼もかつてはスペイン語専攻の学生でした。
スペイン語は英語に比べればなかなか手強い言語です。学べば学ぶほど文法上の疑問が次々と沸いて来ます。スペイン語を大学で学んだ経験のない私のようなサラリーマンがこの言語の奥の奥まで分け進むと、目の前の霞は濃くなるばかり。そんな私にとってこの文法書は霞を振り払い、視界を晴らしてくれるありがたい書でした。
書名を「中級スペイン語文法」ではなく「中級スペイン文法」としたために、ネット上で検索の仕方を誤って本書に辿り着けない学習者が多いでしょうが、腰を据えて学習する意思のある人には強くお奨めしたい一冊です。
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