独習者のための楽しく学ぶラテン語小林 標
大学書林 刊
発売日 1992-11
敷居は高いが魅力満載 2005-11-26
たぶん、現在手にはいる日本語で書かれたラテン語の教科書としては、一番取っつきにくいかも知れない。始めの数章は他の教科書とあまり変わらないが、すぐに実際の古典から採用している例文が現れ始めて急に難しくなるからだ。キケローやオウィディウスは何もラテン語初心者のために書いたわけではないから、簡単なところを採って例文にしても結構難しい。私はこの本を購入してからしばらくは歯が立たず、わかりやすそうな他の本を使っていた。しかし、辛抱強くこの本の例文や練習問題に付き合っていると少しずつだが読めるようになり、そうなるとだんだん楽しくなってきたのだ。例文も練習問題も、その他いろいろちりばめられているラテン語は実に様々で、読んで楽しく、また文学や、歴史への興味をかきたててくれる。カトゥッルスの愛の詩の一節を読んだかと思うとテレンティウスの喜劇の一場面に出くわし、聖書の言葉や宗教詩に心打たれた後には、紀元前2世紀の墓碑銘の前に立ちつくし、一人の女の生涯に思いを寄せる。たくさんあるコラムにはラテン文学史、ラテン語の歴史を始め、有益な情報が豊富にある。「独習者のための」「楽しく学ぶ」というのはまさにその通り。特に*大人の*学習者には実に良い本だと思う。ただ、ちょっと忍耐力が必要だ、ということでしょう。
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