百科全書―序論および代表項目岩波書店 刊
発売日 2000
「近代」を準備した大著の抄訳 2006-07-28
2006年,6年ぶりの重版で手に取りました。
世界史の教科書ではおなじみの『百科全書』ですが,中身を読んだことは今までありませんでした。
「序論及び代表項目」というサブタイトルのとおり,内容は16項目を抄訳したものですが,原題の副題(「または学問,芸術,工芸の合理的辞典」)に示された3本柱から,哲学,自然法,主権者,親権,平和,奢侈,力学,技術,天才,美などがバランスよく訳出されています。
フランス革命間近い18世紀後半に編集執筆されたものでありながら,「親権」の項目などを読むと,真の意味での「近代」は,現代の日本にも根付いているとは言い難いことを感じます。
すなわち,本書でジョクールは「親権」(原語はPouvoir paternel=父親の権限)を「父と母とがその子に対して有する権利と権能」と定義しつつ,「理性的に考えるならば,母も父のそれと同等の権利と力とを有することに気付くであろう」と述べ,「父と母とが子に対して有する力は,子が未成熟の状態にある間,子の世話をせねばならぬという彼らの義務に由来する」と指摘し,「父母は子の保護者,監督者としての資格においてのみ親権を有する」,「親権は力というよりもむしろ義務である」と喝破するのでした。
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