スペイン語の贈り物福嶌 教隆
現代書館 刊
発売日 2004-08
コミカルな挿画までが著者の手になる、まさに「贈り物」ともいえる好著 2004-08-26
著者はNHKスペイン語講座の講師を長年務めてきた人物。過去10年間に語学講座のテキストに執筆してきたコラムを中心に構成した一冊です。
第1章「スペイン語の世界」では、スペイン語の変遷史や辞書の歴史、言葉遊び(回文やなぞなぞ)や擬音語など、スペイン語の様々な相貌を見せてくれます。
第2章「スペイン語と日本語」と第4章「スペイン語文法Q&A」は「日本人の間違えやすいスペイン語のミス」について教えてくれます。「学べば学ぶほどかえって疑問が増えて」きた学習者にはうってつけの章です。
例えばhacerを用いた使役文(〜させる)についての以下の説明:
?不定詞が自動詞の場合、被使役者は直接目的語の形をとる。
?不定詞が他動詞の場合、被使役者は間接目的語の形をとる。
私はこの説明を読みながら思わず「そういうことなのか!!」と声をあげてしまったほどです。
他にもel hecho de que〜の後に接続法を用いる場合と直説法を用いる場合の差異についてなど、実に明快な解説をしてくれていて、嬉しさのあまり涙が出そうになりました。
第3章「からだで覚えるスペイン語」は日本語でいえば「のどから手が出る」の類いの身体部位を含む慣用表現を取り上げています。「Me voy a planchar la oreja.耳にアイロンをかける」(=寝る)など、スペイン語の豊かな表現力に触れることが出来ます。
ただし、本書はその出自が語学テキストですので、ある程度以上のスペイン語力がある人でなければ楽しめません。殊に最終章「チャレンジ」は月刊「言語」に執筆された原稿ですから、言語学の知識が要求されます。
ラジオ講座の応用編にそこそこついていける程度の力がある人、もしくはそれを目指して人一倍勉強を続ける意志のある人が先物買い的に購入することをお奨めします。
それ以外の人には、この「贈り物」は気に入ってもらえないでしょう。
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