スペイン語のしくみ岡本 信照
白水社 刊
発売日 2005-04
スペイン語の世界をのぞかせてくれる平易な入門書 2005-05-16
スペイン語ってどんな言葉なのかな?とちょっぴり興味を持っている高校生が、その世界を覗いてみるにはうってつけの入門書です。
小難しい文法用語は一切出てきません。発音の仕組みや語順の特徴、「いる」とか「ある」はどんな風に表現するのか、といったことを順番に簡単な例文と共に紹介していきます。高校生程度の英語力がある読者を対象にしているとみえて、英語との類似点や相違点を示しながら分かりやすく解説してくれています。
もちろんこの本一冊でスペイン語が話せるようには絶対になりません。これは例えて言うなら試供品のようなもの。スペイン語をお試ししてみるための「入門書の一歩手前」程度のものだとみるべきでしょう。
ですから本書でスペイン語って面白そうだな、と感じた読者はそれからさらに本腰を入れてスペイン語を勉強してみれば良いのです。本格的に勉強するにはNHKのラジオ講座を半年間じっくり聞いてみるのが一番良いと私は思います。私は3年前にNHKのラジオ講座を聞くことから始めて、今では新聞記事くらいは平気で読めるようになりました。
付属のミニCDディスクはこの本に出てくるごく簡単な例文をいくつか吹き込んであります。これも、スペイン語の音をちょっと聞いてみたいな、という関心にこたえるための一枚だと考えたほうがよいと思います。
吹き込み者は天理大学の専任講師でプエルトリコ出身のネイティブです。ですから発音はイベリア半島出身者のスペイン語とは少し異なります。本書で発音を解説した箇所には「ci」や「za」は「舌を噛むサ行」になるとありますが、それはイベリア半島のスペイン語に当てはまることで、CD吹き込み者のように中南米出身者はこれを舌を噛まずに発音します。そのことを知らない読者は、本書の記述とCDの発音との間に矛盾を感じて戸惑うことでしょう。その点は少々説明が足らず、不親切だったと思います。
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